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鱒ノ糸エステルSOFT(ソフト)・HARD(ハード)との使い分け/磯野寛之

2024.10.25

皆さんこんにちは。SUNLINEフィールドテスターの礒野です。

 

 

2024年秋に発売となった「鱒ノ糸エステル」。前回はハードについて説明しましたが、今回はもう一つのモデル“SOFT(ソフト)”について。

なぜ1つに絞らずハードとソフトの2タイプに分けたのか?どのようにハードと使い分けるか?そんなところもご紹介できればと思います。

 

 

HARD(ハード)についての解説は前回のコラムをご覧ください。

「鱒ノ糸エステルHARD(ハード)/磯野寛之」

 

 

鱒ノ糸エステルSOFT(ソフト)×礒野寛之

ソフトならではの有効な出しどころとは

これまで何年もエステルラインの検証を続けてきたことで「サンラインはエステルが得意分野」であると確信しました。素材感はもちろん、号数毎の設定(味付け)も絶妙なところへ持っていけるし、経年劣化に対するストレスも少ない。ノットの安定性も高いので、安心して釣りに臨める。

 

 

だから今回の鱒ノ糸エステルプロジェクトにはとても期待を込めていました。

 

今ではトーナメントシーンだけでなく幅広いエリアトラウトアングラーが頼りにしているエステルラインですが「それはなぜか?」。
改めてエステルラインの個性について考えてみましょう。

 

 

〜素材的な特長〜

比重が「1.38」と水馴染みが良い

糸に透明感を持たせられる

伸びが少なく張りがある

 

〜実釣面での特長〜

手元へ来る情報が強く多い(感度が高い)

水中情報のズレを抑えやすい

リニアな誘いを入れやすい

リニアなフッキングへと繋げやすい(ハードは反転しづらい魚にも)

 

礒野的に総括すると「アングラー側のやりたい事が“直感的”に捉え反映しやすい」ことがエステルとしての最大のアドバンテージかなと思います。

もちろんそれが全てではありませんが、エステルならではの把握のしやすさがベースとしてあったから、細かな使い分けまで意識できているアングラーの方も多いかと思います。

 

 

これらの特長を踏まえて鱒ノ糸エステルのSOFT(ソフト)は、エステルらしさを残しながらも、敢えてクッション性・しなやかさを足していったものになります。

 

 

拘った2つの伸度設定。ハードとソフトの使い分け

礒野的には、次のような優先順でラインセレクトをしていきます。

 

 

それらを踏まえて、このように検討していきます。

・エステルラインの良さを活かしつつ変化を加えたいなら、ハードとソフトを使い分け

・さらに微調整を加えたいならリーダーの素材、号数、長さにも変化を

・それでもアジャストし切れない大きな環境差がある場合には、他素材のライン(ナイロン、フロロ、PE)も活かしていく

 

ハードは魚の口が針先に触れた時、素早く感知しフッキング体制に持ち込みやすいです。アングラー側も早めに気付きフッキング動作に持ち込みやすいですし、魚も自らフックを口に刺してくれやすくなります。

それだけ聞くとハードで何でもできそうな感じに聞こえますが、確かにできることは多く魅力なんです。でも実際には、アプローチはもちろんの事「掛かる→キャッチする」という流れを作り出すために、ソフトとの使い分けが大事となる場面が多々あります。

 

例えば口に針先が軽く触れた時、伸びが少ないラインだと魚も早く違和感を持って暴れてしまう。その結果、フッキングしきれずに外れてしまう状況があります。

そんな時は、深いフッキングになるまで咥え直すよう誘導し、同じバイトでもタイミングをずらして魚に反転してもらう、そんな事も大切になってきます。

アングラー側の技術で何とかなる事も多いですが、それだけでは難しく感じる時もあります。

だからソフトは使い分けとして重宝してくるんです。

 

 

SOFT(ソフト)はどんなシチュエーション/アングラーにおすすめ?

ソフトは先述の通り、クッション性やしなやかさを活かした仕様です。

 

例えば、スプーンの巻き速度が速く(引っ張る力が強い)さらに魚側も反転要素も強い、引っ張り合いっこになりやすい状況。

引き抵抗の強いクランクも同様で「掛ける間をより持たせ、深いフッキングに繋げたい」「明確なバイトを選んだり、2nd3rdバイトまでずらしたい」「魚を嫌がらせない(過度に暴れさせない)→バラしの抑制」といったイメージで有効性が出てきます。

マイクロスプーンやマイクロクランクを使う時も「より飛距離が欲しい」「フッキングの時間を長く取りたい」などの期待に応えてくれます。

 

また、ライントラブルの少なさもソフトならではの強みです。

エステルラインでのライントラブルの大半は、スプールからロッドの一番手前のガイドまでの間で発生しやすいもの。それは糸の張りが強いことにより、スプールからどんどん糸が押し出されていくからです。それが飛距離の向上にも繋がっている訳ですが、ライントラブルが心配な時はソフトから入って、慣れてからハードを比べてみるのも良いと思いますよ。

 

 

アドバンテンジクリアーの有効性

今回の鱒ノ糸エステルに採用している「アドバンテンジクリアー」。紫外線の強さに応じてラインが膨張して見えるものなのですが、従来のクリアーラインよりも格段に視認性を確保できる事、そして”不思議な程に”水中でプレッシャーを与えづらく、クリアーラインと同じ信頼感で扱える「両立の難しい要素の成立」がこのラインカラーの最大の特長と言えます。

 

 

このラインカラーに対して、まず多くの方が「紫外線発光→ケイムラ→魚に目立つ」と連想する筈です。しかし全国のエキスパート達は、実釣を重ねていく毎にそのイメージは覆されていきました。ラインの存在が気にされやすいクリアウォーターやハイプレッシャー、ラインをじっくりと見せてしまうようなメソッドでも。「アドバンテージクリアー」は、魚からラインの存在を気にされずに絶妙な塩梅の視認性を与える事に成功。その名に相応しいポテンシャルを発揮します。

 

使い込んだテスター陣は皆「視認性が明らかに良くなるのに、不思議なくらい糸の色で見破られている気がしない」「クリアーラインと同じ信頼感で使える」と口を揃えます。

 

 

私はこのラインを、カラーラインの類では無く「クリアーライン」として捉えています。エキスパートな人達って、慣れと技術的な部分でルアー操作の大半ができちゃうもの。でも、やっぱり視界からくる情報が足らないと「勿体無い現象」も水中では起きていると思っていて。例えば「あと1秒後にラインが風で押されるから、事前にこう操っておこう」「こんな感じでラインが押されるなら、ロッドをこう傾けてドリフトさせちゃおう、ここで喰うはず…」など、その瞬間を捉え,未来を予想できないと難しい釣りって実は沢山があるんです。で、それは常にサイトフィッシングをしているような感覚。やっぱり何となくとちゃんとでは、ルアー操作への信頼度も変わってくるんですよね。見えるからこそ難しい領域へ繊細なアプローチで立ち向かうこともできる。一度色のイメージを捨てて、騙されたつもりで使ってみて欲しいです。私はここ数年、このアドバンテージクリアーばかりですから。

 

 

トラウティスト 鱒ノ糸エステル ハード