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ブラックバスのトップウォーターゲームの魅力とタックルセッティング/杉原康太郎
2025.9.5
トップウォータープラグを目がけて水面を割って飛び出すブラックバス。
その瞬間、一気に心臓の鼓動が高まりアドレナリンが分泌され、頭が真っ白になり誰しもが少年に戻る。
ブラックバスのトップウォーターゲームの最大の魅力は、まさにこの「水面を割るバイト」だと言える。
ブラックバスという魚が本来持っている捕食本能を、最もダイレクトに引き出せるスタイルの一つがトップウォーターゲームだと私は思う。
私自身、中学時代にウッドで出来たルアーを使ったトップウォーターゲームのという刺激的なスタイルを知り、それ以来30年以上ブラックバスのトップウォーターゲームに魅了され続けている。そして気づけば、ウッドのフルサイズトップウォータールアーのみを使用してブラックバスを狙うスタイルを提唱するChest114(チェストイチイチヨン)というブランドを立ち上げ20年以上も続けてしまっている程、このトップウォーターゲームというものは中毒性がある釣りなのである。
長年トップウォータールアーの開発とテストを重ねてきたが、水面を割る釣りだからこそ得られる「駆け引きの深さ」は、年々その魅力を増している。特にポッパーやペンシルのような、操作系のルアーの動かし方には、アングラーの「個性」や「性格」すら表れる。トップウォーターはまさに“釣り人の表現力”が試されるゲームといっても過言ではない。
ライン選びがアクションを決める
そんなトップウォーターゲームにおいて、重要になってくるのがタックルセッティングだ。
特にライン選びは、釣果だけでなくアクションの質にも直結する。ブラックバスのトップウォーターゲームにおいて、水面に浮かぶルアーをアクションさせるには、ラインの比重も重要になり、より水面付近に漂いやすいラインとの相性が良いため、ナイロンラインとPEラインの2種のラインが主流になっている。今までブラックバス用だけでなくソルトウォーター用のラインに至るまで様々なラインを使用してきた中で、現時点で一番信頼を置いているのが、サンラインの「シューター・マシンガンキャスト」 だ。このラインは、キャストフィール・強度・操作性のバランスが非常に高次元でまとまっており、トップウォーターゲームにおいて理想的なラインと言える。
シューター・マシンガンキャスト
トップウォーターでは、ロッドワークに対して即座にルアーが反応する“操作性”が何より重要で、マシンガンキャストはしなやかさの中に適度なハリとコシがあり、伸びも少ないので、ルアーを思い通りに動かすのに適している。これは、特にピンスポットでの首振りアクションや、遠投して誘いたいときに特に大きなアドバンテージになる。
加えて、ラインの比重が軽すぎず重すぎない点も秀逸で、フロロカーボンのように沈みすぎず、浮きすぎによる“モタつき”も感じにくいため、テンポよくルアーを操作する事が可能だ。例えば、ペンシルベイトをテンポよく「チョンチョン」と動かしたいときでも、ラインが適度に水を捉えてくれるため、意図した動きを忠実に再現することができる。
ラインの太さとロッド選び
ラインの太さについては、使用ルアーの大きさやカバーの有無にもよるが、私は主に16lbを基準にセッティングしている。これにより、遠投性と操作性のバランスを取りつつ、ランディング時にも安心感が得られる。ブッシュ周りやウィードエリアなどでの使用時には、少し太めの18lbや20lbにすることで安心してやり取りが出来る。例外的に、琵琶湖等のヘビーカバーを攻める場合においては、バスの瞬発的なパワー等も考慮してそれ以上の太さをチョイスする事もある。
ロッドに関しては、トップウォーターでは細かい操作を繰り返すため、長すぎるロッドは手首や肘への負担が大きく、意図した動きを出しにくくなることが多い為、5.2〜6ft前後のショートレングスでファースト〜レギュラーテーパーの物を使用している。また、オーバーハング等にルアーを送り込むことも多いため、ショートロッドはキャストにおいてもアドバンテージが得られる。
リールに関しては、ルアーのピックアップやラインスラックの処理をスムーズに行える、ギア比6.5:1等のハイギアタイプのリールを使用するとストレスも少なくなり釣りに集中する事が出来るので、どんなリールが良いかと聞かれたら、個人的にはハイギアのリールをお勧めする。
集中力と感性が鍵
そして何より、トップウォーターの釣りに必要なのは“集中力”と“感性”である。魚が水面を意識しているか、水の色や風の向き、ベイトの有無…。そんな些細な変化を感じ取れるようになると、ルアーの操作にも自然と深みが出てくる。
もちろん魚の考えている事や気持ちはわからないので想像の枠から出る事は無いが、様々な妄想をしながらブラックバスと向き合い、ルアーを動かし、そのルアーを目がけて激しく水面を割るブラックバスと出会ったときに、また一段とトップウォーターゲームというものが好きになる。
釣れた瞬間の喜びはもちろん、釣れなかった日の「なぜ?」を考える時間すら楽しい。
それがトップウォーターゲームの本質であり、そしてその釣りを支えてくれる信頼できるラインがあることは、釣り人にとって大きな武器になると確信している。