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新・エリアトラウト用エステル開発話 〜狙いの釣果へ繋ぐ“絶妙な塩梅の視認性”の追求〜/磯野寛之
2023.12.22
皆さんこんにちは!サンライントラウトフィールドテスターの礒野寛之です。
今回はエリアトラウト専用Newエステルラインについて、開発段階の情報を部分的ではありますが、このコラムを見ていただいている皆さまにお伝えできればと思います。
まず皆さんご存知の通り、エリアトラウトで使用するラインは大きく分けて4つ。
ナイロン、フロロカーボン、PE、そしてエステルです。
ここ数年私は“エステルライン”を一つの軸としており、そこでカバーしづらい範囲は他素材のラインで補ってもらう…そんな釣りの組み立て方をしています。
【礒野流ライン使い分け術(エステルを軸とするワケ)】
エステルラインは「伸びが少ない」「水馴染みが良い比重」といった特徴を活かしやすくなります。具体的には
・飛距離を出しやすい
・棚ズレを抑えやすい
・情報量に優れ、操作感もダイレクト
・リニアなフッキングへと移行しやすい
また、透明色を使える事も大事な要素ですね。
刻々と変わる環境へのアジャストや、豊富なアプローチ方法への対応など、カバーできる範囲が広いのはこの素材ならではの強み。
これだけ書いているとまるで完璧な素材のように見えてしまいますが、決してそんなことは有りません。そこは他素材と使い分けていく事で釣りの幅は広がってくるものです。やり込めばやり込むほど、痒い所に手が届くような調整要素の必要性も感じてきます。
という事で、エステルから他素材へと切り替えるシチュエーションやその理由はどんなものか?これから見ていきましょう。
★ナイロン
特徴:エステル以上にクッション性がありしなやか、比重が軽くラインを浮かせやすい
〜活用例〜
反転しながらバイトする(咥えたフックに対して強く体重を掛けてくる)トラウトに対してクッション的(楽なフッキング)要素を持たせたい時。バイトの質をより正確に見極めたい時。また、ラインの浮力を活かしてスプーンを上昇軌道で引きたい時やドリフト要素を強調させたい時など。
★フロロカーボン
特徴:擦れに対して耐えやすく、エステルに対して比重が重く浮き上がりを抑えやすい
〜活用例〜
軽いスプーンや浮き上がりの強いルアーを深いレンジまで沈み込ませて、浮き上がりを抑えさせたい時。強い風や流れへの対応に。また、強度面や魚への自然なアプローチ(屈折率の関係)でエステルやPEのリーダーとしても多く使われる。
★PE
特徴:エステル・ナイロンに対して比重が軽い(※高比重PEを除く)。細くしながら引っ張り強力を強くできる。ラインテンションを張っておいた状態では感度抜群。但し、ラインテンションを抜くと感度は失われやすいので注意が必要。
〜活用例〜
アベレージサイズが大きく引きの強烈なトラウトを狙う場合。また、ラインの浮力を活かして上から持ち上げるように誘いを入れ込みたい時。正確な操作感を必要とするトップ、マジックジャーク、ボトムの釣りなどにも。
【Newエステルに求めた2大要素】
今回Newエステルを開発するにあたり、強く求めた要素は次の2点です。
①ハードとソフト、それぞれの伸度設定
端的に言えばハードとソフト。それは近年のエステル用途の拡大に合わせてのもの。刻々と変化する状況下、そして多様化した釣り方にいち早くアジャストしていけるよう、伸度別での2種をリクエストしました。
★ハードタイプ(低伸度エステル) ※画像はプロト
扱いやすさという面で支障の出ないギリギリまで伸度を落とし張りを持たせる事で、やや扱いはピーキーになるものの、感度や伸びの少なさから来る操作性を重視した仕様です。
反転バイトには至らない、例えばフックを咥えたままルアースピードと同じまたはそれ以上のスピードで手前に来てしまう、またはバイト自体が弱い魚を狙うのに活きてきます。また、伸びの少なさと水馴染みの良さからくる操作性を活かして、インフォメーションの少ないスプーンやクランクも扱いやすく、トップウォーター、マジックジャーク、ボトムなどの入力系の釣りにもその恩恵を得られます。
★ソフトタイプ(高伸度エステル) ※画像はプロト
エステル原糸にシリコーンを配合し伸び感を少し与えることで、しなやかで糸グセが付きづらくなるだけでなく、クッション性が必要となる状況に活用できます。
ナイロン以上に水中でのコントロールがイメージ通りに行いやすく、感度面での恩恵も得られる。でもハードタイプのエステルよりもクッション性がある…そんな位置付けです。感度面はハードタイプに比べ僅かに劣るものの、その分扱いやすさとバイト〜フッキング時のクッション性(余裕)を持たせる事ができるのが特徴です。
例えば、放流直後の勢いある反転バイトを合わせていく場合や、飛距離+合わせる間が欲しい時のマイクロスプーン、反転バイトの出るクランキングなどで活用しやすくなります。
②絶妙な塩梅の見やすさ
ラインの動きを目で感じ取るための高い視認性でなく、ラインの位置やたるみ具合を把握できる程度のもの、それ以外はより違和感なくバイトに持ち込ませられる事が必要でした。魚に気にされるような配色はどうしても避けたく、とてもシビアなカラー選択でした。
そして改良を繰り返し少しずつカタチになってきたNewエステル。
2024年、エリアトラウトシーンをサンラインはしっかり引っ張っていきますので、ぜひ楽しみにしていてくださいね!
それでは、次回の情報公開を楽しみにお待ちください。
以上、トラウトフィールドテスター礒野寛之でした。