- 磯
新たな伝説を創る為に…鬼才・松田 稔の思い
2016.10.5
『サンライン本社に来たのはホンマ、久しぶり』という程サンライン本社への訪問は久方ぶりだった、鬼才・松田 稔テスター。今回の訪問をとても心待ちにしていたとのこと。
訪問の理由は今後新たに発売するための製品の打ち合わせの為。
ですが、まずは工場見学へ。
しかし、さすが鬼才!『ワシはわかっとるから、ええ』で開発からの説明を聞いてくれないww
しかし、見たことがない作業や装置があれば質問をブツけて、熱い話しが始まる。
糸の話しとなればなおさらだ。
もちろん、自身が生み出した渾身の道糸である『ブラックストリーム マークX』を見つけると、この糸に込めた性能を語ってくれた。
『この糸を作った理由、知っとるんか?ここにおるやつみな知らんだろ!?(笑)
このピンクが重要なんよ!このピンク部分の長さはこれよりも長すぎても短すぎてもダメ。この長さがベスト!
ウキに反応が出ない巨大尾長のアタリをこれでとるんや。』
カラーも拘っているが、強度も申し分ない。それは松田テスターの釣果が実証している。
さらに、糸の性能を落とさない為のノンストレススプーリング(NSS)も実は重要だったりする。
これまたなくてはならないハリスとなった『ブラックストリーム』についても思いを語ってくれた。
『このハリスをテストしとる時、潜って観察してみた。クリアのハリスは海中でやっぱり反射する。だから、太く見える。でも、これ(ブラックストリーム)はこの色(ブラッキーカラー)やけん反射せんけん、細く見える。』
『そして、ブラックストリームはとにかく強い!結節と根ズレにたいしてとにかく強い。
根ズレに対しては硬い方が強いはずなんやけど、なぜか強い…』
そして、本題のミーティング。
まずは新技術『P-Ion』についての説明。
P-Ionがもたらすメリット、そこから生まれる次世代のテクノロジーを開発部が解説。
説明がひと段落するとテストラインについての打ち合わせへ移る。
ナイロンとフロロカーボンは磯釣りにおいて、改善されたとはいえまだまだデメリットが存在する。
そこをP-Ion加工を施す事で解消することが出来る可能性が非常に高いということ。
しかし、釣り師としての考えを当然、松田テスターは伝える。
『糸はつこうて強ないとダメ!』
かつてナイロンハリスのテストを繰り返し行ってもらった過去があるが、やはりナイロンは傷に対して弱かったとのこと。細かな傷が入りやすいようで、ヒラメなどの歯が鋭い相手には切られたようだ。
だが、ブラックストリームは耐えたという。
もちろん、P-Ionとの掛け算ではそういった矛盾する問題を解決出来る可能性は高い。
新しい挑戦だけに多くのテスト期間を必要とするだろう。
しかし、松田テスターはこういう言葉も言っていた『失敗せんとええもん出来ません!』
また、話しは道糸移った。
『マークXは強いし、ホンマに使いよい。使いよいんで!でも、ホンマはもっと水を掴んでくれる道糸が欲しい。
風の日に強い道糸よ。理想はティッシュペーパー。どんだけ風が吹こうが流れに乗っていく。
そうするには道糸の表面に傷をつけて水を掴むようにせんといかん。でも、これをやると糸が白っぽうなる。
そんな道糸誰も買わんやろ(笑)でも、こんな道糸が欲しい・・・』
実現可能な事だが、見た目、強度などが急激に変化するような道糸を発売することは出来ない。
だが、これもP-Ionが将来的に実現してくれるかもしれない。
糸の話しが終われば次は松田テスターから問題が出題された。
『流れはこうとこうきとる、風はこうきとる。このとき、ココに仕掛けを流したいとき、何処に仕掛を打つか?』
と特別講義が始まった。
そして、この講義は『僕は全部計算してやっとる!』が決め台詞となり終了した…
…と思いきや、完全にスイッチが入った松田テスターは『これはみんなに言えること』と言い最後に語ってくれたのは魚とのやり取りの仕方だ。
『大きいんグレ掛かったとき結構みんな切られよる。でも、「切れた」と「切られた」んじゃ内容が違う。大概はみな切られとる。糸を出し過ぎじゃ。切れた糸の上部分をみればすぐにわかる。
後は水深があるところは取り難くて、シモリがあるところは実は取りやすい。魚は自然とシモリをかわすからな。それから、浅いと竿を思いっきり締め込む事で手前に来んで、沖に向かって走るけんの…』
全て自ら経験したことを道具の開発にフィードバックする。
様々な角度から分析されたデータはとても説得力があり、何よりも深みがある。
今後も新たな伝説を創る為に“鬼才・松田 稔” は歩みを止めない…